Introduction

2022年8月27日(土曜/昼)

柳下美恵サイレント映画の旅

上映作品:ヴァレンチノ主演『黙示録の四騎士』The Four Horsemen of the Apocalypse(1921年 アメリカ映画)
協力:マツダ映画社


柳下美恵(piano)

今回の上映作品は、夭折の大スター、ルドルフ・ヴァレンチノの出世作『黙示録の四騎士』。黙示録の四騎士とは、ヨハネの黙示録第6章に記される封印が解かれた時に現れる騎士。「征服」「戦争」「飢饉」「死」を象徴する馬に乗った騎士が世界を荒廃に至らしめる役目を担っている。原作は巨匠、ヴィセンテ・ブラスコ・イバニエス(第4回でグレタ・ガルボ主演『イバニエズの激流』を上映)。イタリア移民ヴァレンチノはダンサーとしてアメリカ各地を巡業、脚本家=ジューン・メイシスが才能を見い出し、主役に抜擢された。メイシスはヴァレンチノのためにタンゴシーンを付け加え、見事に応えたヴァレンチノはこの作品で一気にスターダムにのしあがった。人間の心が穏やかに保たれれば四騎士も退散し、疫病や戦争がなくなるのだろうか。(柳下美恵)

演奏家紹介

  • 柳下美恵Mie Yanashita / piano

    柳下美恵Mie Yanashita / piano

    武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭オープニング映画生誕百年祭『光の生誕!リュミエール』でデビュー。国内海外の映画館、映画祭に招聘され伴奏を行う。ボローニャ復元映画祭でレギュラー伴奏を行うなど欧米スタイルのサイレント映画伴奏者は日本初。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。「映画館にピアノを!」を合い言葉に映画館で見るサイレント映画に注力中。シリーズ企画にサイレント映画の連続上映「ピアノ&シネマ」@横浜シネマ・ジャック&ベティ2015年〜、ピアノ伴奏で見るサイレント映画「ピアノdeシネマ」@UPLINK2014年〜、35mmフィルム+ピアノ伴奏で見るサイレント映画「ピアノdeフィルム」@横浜シネマリン2020年〜がある。

    作品データ
    『黙示録の四騎士』The Four Horsemen of the Apocalypse
    1921 年 アメリカ映画 メトロ・ピクチャーズ作品 監督:レックス・イングラム
    原作:ヴィセンテ・ブラスコ・イバニエス
    脚本:ジューン・メイシス
    美術:フレッド・ガバウリー、エイモス・マイヤーズ、ジョセフ・カルダー
    音楽:ルイス・F・ゴットシャルク
    編集:グラント・ホワイトック

    出演
    ルドルフ・ヴァレンチノ(フリオ・デスノイヤス)
    アリス・テリー(マルグリート・ローリエ)
    ペメロイ・キャノン(マダリアガ)
    ジョゼフ・スウィッカード(マルセロ・デスノイヤス)
    アラン・ヘイル(カール・フォン・ハルトロット)
    ブリジェッタ・クラーク(ドナ・ルイザ)
    メイベル・ヴァン・ブーレン(エレナ)
    ナイジェル・ド・ブリュリエ(チェルノフ)
    ジーン・ハーショルト(フォン・ハルロット教授)
    ウォーレス・ビアリー(フォン・リヒテンホーフェン中佐)

    あらすじと解説
    スペインからアルゼンチンに渡って大富豪となったマダリアーガ老人一族の物語。二人の娘はフランス人とドイツ人と結婚して同居するが、両家族は気質や考え方が全く違っていた。老人はフランス系一家の孫息子フリオ(ヴァレンチノ)を偏愛した。甘やかされたフリオは放蕩者となり、酒と女とタンゴにうつつを抜かす生活を送る。老人の死後、莫大な遺産を分かち合った両家は、故国フランスとドイツへ戻る。フリオはタンゴの踊りの名手として、パリ社交界の華となり、父の友人の人妻マルグリートとの不倫に炎を燃やす。第一次大戦が勃発。フランスは戦火に包まれ、フランス系一家の古城はドイツ軍に踏みにじられ、フリオもついに従軍して、戦場におもむく。
    スペインの文豪イバニエスのベストセラーの映画化権をメトロ・ピクチャーズの社長R・ローランドが買い、ジューン・メイシスの脚色、レックス・イングラムの監督で製作した大作である。ルドルフ・ヴァレンチノ〈1895~1926〉とアリス・テリーのほか著名な俳優が数多く出演している。製作に6カ月と百万ドル以上とを費やし、45万尺のフィルムと1万2,500人のエキストラを使い、14台のカメラと、15人の撮影監督助手を使ったという。当時アメリカ映画界の興行記録を塗り替えるほどの大ヒットとなり、主役のヴァレンチノは一躍大スターとなった。その後、立て続けに『征服の力』『椿姫』『シーク』に主演し、その4年後、人気全盛の時、31歳で胃潰瘍がもとで急死した。