Introduction

2022年05月15日(日曜/昼)

神﨑えりサイレント映画の旅

バスター・キートン主演『キートンのセブン・チャンス』Seven chances(1925年アメリカ)※テクニカラー版/ 協力:喜劇映画研究会

今回は『キートンのセブン・チャンス』をお届けします。ラブコメディかと思いきや、後半の逃走シーンではキートンの凄まじいアクションも堪能出来て、万人にお勧めできる傑作です。100年前の映画なのに、100年経っても色褪せない。映像の中のキートン達と時代を超えて共演できることに至上の喜びを感じつつ、今回も心を込めて演奏します。(神﨑えり)


演奏家紹介

  • 神﨑えりEri Kozaki /piano

    神﨑えりEri Kozaki /piano

    国立音楽大学作曲学科を首席で卒業後、フランスに渡り、パリ国立高等音楽院に入学。エクリチュール科の学位を最優秀の成績で取得。また、同音楽院即興演奏科 (improvisation au clavier)に日本人として初めて、ピアノ部門では女性としても初めて合格・卒業する。
    在仏中より音楽活動を積極的に行っており、作曲家として国内外の演奏家達への作品提供多数、即興演奏家・ピアニストとしてはフランス、イタリア、日本、韓国、アメリカ合衆国において多くのコンサート、フェスティバル等に出演。ダンサー、喜劇俳優、映像作家など、異なるジャンルのアーティストとのコラボレーションも多数。
    また、近年はピアノソロ即興演奏による無声映画伴奏に特に力を入れており、これまでに無声映画伴奏ピアニストとして、欧州の国際映画祭において招待演奏を行い、高い評価を得ている。
    現在は東京高等バレエ学校ピアニストを務めながら、後進の指導にも当たっている。

    作品データ
    『キートンのセブン・チャンス/テクニカラー版』Seven chances
    1925 年アメリカ 57 分/24 コマ再生 ※パートカラー
    製作:ジョゼフ・M・スケンク=バスター・キートン・プロダクションズ&メトロ・ピクチャーズ
    監督:バスター・キートン、ロスコー・アーバックル
    原作:ロイ・クーパー・メグルー
    脚本:クライド・ブラックマン、ジョセフ・A・ミッチェル、ジーン・C・ハヴェッツ
    撮影:エルジン・レスリー
    美術:フレッド・ガブリー
    日本語字幕:石野たき子

    出演
    バスター・キートン(青年実業家ジミー・シャノン)
    T・ロイ・バーンズ(ビジネス・パートナーのビリー)
    ルース・ドワイヤー(恋人メアリー)
    スニッツ・エドワーズ(弁護士)

    新野敏也(作品解説)喜劇映画研究会代表
    本作は、大正14年の日本初公開時に『キートンの栃麺棒』というタイトルとなっていた。栃麺棒(とちめんぼう)とは、トチの実とソバ粉を混ぜた麺を作る際に、練った素材を薄く延ばすための棒で、急いで麺を打たないと硬くなるという事から「あわて者」「あたふたしている人」を意味する単語となった。また、夫婦喧嘩で恐妻の使う凶器が麺を延ばす棒という解釈もあり、この邦題は慌てるキートンとコワイ女というダブル・ミーニングで命名されたようである。この邦題を昭和48年のリバイバル“ハロー!キートン”で『セブン・チャンス』と改めたのは、配給を手掛けたフランス映画社の柴田駿社長で、企画会議では大島渚監督が「むかしの題名も文化遺産なので、改題すべきではない!」と猛反対したそうな。しかし、もし『栃麺棒』なんてタイトルのままリバイバル公開されていたら、古典映画愛好家の懐古趣味に埋没して、21世紀の若い世代には本作が忘れ去られていたかもしれない。冒頭のカラー部分は、1953年にジェイムズ・メイスン邸(旧キートン邸)のガレージで本作のフィルムが発見されるまでは、欠損したまま“幻のシークエンス”となっていた。そして、アメリカの興行主で古典映画マニアのレイモンド・ローハーワーによる1968年からのキートン作品リバイバル(フランス映画社の“ハロー!キートン”もその一環)では、オリジナル2原色テクニカラーが修復不可能のため、今日まで黄色や青色などの染色が施されていたのだが…。
    本日の上映はその、幻の1925年オリジナル2原色テクニカラーによる上映! 才媛・神﨑えりさんの奏でるピアノ伴奏で、この愉悦を全身で感じて下さい!